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作品名:心の中で生きる彼方 作者:烏山鉄夫

第38回 潜入
滋野綾芽は高校の屋上にあるテラスで昼食を摂っていた。今朝は寝坊をしてしまったので、普段は手作り弁当のところを登校途中にコンビニで菓子パンを買って来たのだ。封を開けようとした時に、友達の星羅が綾芽の姿に気が付いて話し掛けて来た。
「アヤメ、一緒に食べよう」
「あっ、星羅。良いよ、食べよう」
「今日も良い天気だね」
「そうだね」
「ねえアヤメ、チョビーの噂知ってる?」
「チョビーの噂?」
「うん。チョビーに勉強の質問をしに二人きりになったりするとセクハラされるんだって」
「それ、本当?」
「そうなの、この間は沙那がおっぱいを揉まれたんだって。先輩の中にはレイプされた人もいるんだって。単位が欲しければ大人しくしろって」
「うわあ、気持ち悪い!授業中は真面目で優しい顔しているのに、もうチョビーなんて呼びたくないわ」
「でも、あくまで噂だから」
「噂が立つと言う事は素振りがあるのよ。ほら、火の無い所に何とかって言うじゃない?」
「そうだよね。実は、星羅チョビーに勉強を教えて貰おうって思ってるの。噂は本当か確かめてみようと思うんだ」
「えっ、よしなよ。星羅までレイプされたらどうするの?」
「大丈夫!星羅はもう経験済みだし、エッチは好きだから、レイプもセックスのうちだよ」
と、明るくて真面目で優等生の生徒会長の星羅は妙な胸の張り方をした。
「そうなんだ、星羅も処女卒業したんだ・・・・・・」
「ん?もしかして、アヤメはまだなの?」
「うん・・・・・・」
綾芽はクラスの男子によるセクハラ行為を許しているが、貞操だけは好きになった人に捧げたいと思っており、本当はセックスに興味があるものの、気安く股を拡げないと言う意志の強さがオーラとなって身を包んでおり、奇麗な娘とエッチをしたいと言う若さに溢れる下心を持って近寄って来る男は皆怖気づいてしまい、先輩の誘いすら断って来たのだ。勿論、奈津代の厳しい躾も要素の一つであった。
綾芽は知らない人が見れば、大学生か成人かと思う色気に包まれているが、星羅は逆に幼さが残り中学生と間違えられる事も多い。
「ええっ?アヤメは美人だしスタイルが良いから、とっくにやっていると思ったのに」
「失礼ね、別にいいじゃない!うちのママは24歳で卒業したんだから、それまでにはと思っているけど」
「そっか・・・・・・じゃあ、今日はチョビーの所へ行って来るから先に帰って良いよ!」
と言って教室へ戻って行った。

放課後、星羅は職員室へチョビーこと速水先生を訪ねた。
チョビーと言うあだ名の通り鼻の下にひげを蓄えた中年男性で、担当教科は古典である。
「係り結びと言うのがあまり良く分からないんです」
「ああ、係り結びね。じゃあ、納得出来るまでゆっくり説明してあげよう」
と言って、面談用の個室に移動して教科書を広げて個人授業が始まった。
「ええっ?今の所もう一度説明して下さい」
「ここかい?その前にちょっと休憩しようか?」
「あ、はい」
もう既に2時間近く経っていた。星羅は古典も得意で全て理解しているのだが、今日は目的があるからわざと分からぬ振りをしているのだ。
「黒部って、こうしてみると可愛い顔立ちしているね」
(来た、来た、来たあっ!)
「そ、そんな事無いですよ」
「いいや可愛いよ、顔も小さいし、あごのラインも素敵だよ。小柄だけど、アイドル顔負けの美人だと思うな」
「本当ですか?」
(気持ち悪くなって来ちゃった)
「どう、何か飲み物を持って来ようか?」
「良いですか?じゃあ、星羅オレンジジュースが呑みたい」
「分かった」
と言って、速水は部屋を出て行ったが、すぐに紙コップを持って戻って来ると、
「さあ、どうぞ」
と机の上に置いた。2つとも同じものだった。
「わあ、わざわざ済みません」
「良いんだよ、別に」
「先生、こっちにしてくれませんか」
「ん?別にいいよ。好きな方を取りなさい」
と言って、自分のジュースを飲み干してしまった。
(あれ?何か薬が入っていると思ったのに)
取り敢えずこちらの目的を疑われるといけないので残った紙コップに手を伸ばした。さりげなく匂いを嗅いでみたが、何ともなかったので安心して口に流し込んだ。
「じゃあ、勉強を始めようか?」
「はい」
と返事をしたけれど、急に体が熱くなって来た。息も荒くなって来た。
(えっ?えっ?どうして?)
「あれれ、星羅さん、どうかしましたか?」
「い、いえ、何でもありません!」
と言ったものの、身体中がうずいてしまって腰をもじもじと動かしていた。
「やっぱり変だよ。少し頑張り過ぎたかなあ?」
「いえ、平気です」
(ああ、やっぱりジュースに薬が入ってたんだ・・・・・・)
「ほうら、星羅。先生の持っているこのペンライトを見つめてごらん」
「えっ?」
「ほうら、もうこのライトの光から目が離せなくなった。このライトを動かすと目が追い掛けたくなりますよ」
と言いながらペンライトを左右に大きく動かすと、彼女の黒くて大きな瞳も連動する。
「これを見ていると気分が落ち着いて、身体の力が抜けてしまいますよ」
「ふはあ・・・・・・」
「さあ、瞼を開けているのが面倒臭くなりますよ。目を閉じても先生の声は聞こえますよ。3つ数えると必ずそうなります。ひとつ、ふたつ、みっつ!」
星羅の瞼がゆっくり下がって目を閉じて、力が抜けたように姿勢も崩れた。
「先生の声があなたの心と頭にどんどん染み込んで行きますよ。もうあなたは催眠の世界に身を委ねてしまいました。3つ数えると、もっともっと深い深い気持ちの良い世界に落ちて行きますよ。抵抗したくても身体が言う事を聞いてくれません。何故なら、この催眠の世界が気持ちよくて、身も心も蕩けてしまって身動きが面倒臭いからですよ。さあ数をかぞえますよ。ひとつ、ふたつ、みっつ!」
と言うと、星羅の表情がどんどん穏やかになり、絶頂による失神の様な充実した雰囲気を出していた。
「さあ、今度は10数えますよ。すると催眠にかかったまま目を開ける事が出来ます。そしておしゃべりも出来ます。でも逃げる事は出来ません。それは先生の命令を聞いて実行する事でより良い快感を得る事が出来るからです。良いですね?」
星羅の頭が意識を失ったままカクンと動いた。それを見た速水は数をかぞえ始めた。
星羅はゆっくりと瞼を開けた。
「星羅、聞こえていますか」
「は、い」
「それでは立ち上がりなさい」
「は、い」
「そのまま、制服を脱ぎなさい」
「は、い。制服を、脱ぎます」
とゆっくり宣言してから、はいていたミニスカートを脱ぎ、ブラウスも脱ぎ捨てた。水色の下着姿になると、
「この机の上に座りなさい」
と言われ、大人しく机の上に乗っかった。
「足を拡げて見せなさい」
と言うと、星羅は脚を拡げて股間が見える姿勢になった。
「うむ、それではそのまま仰向けになりなさい」
「は、い。仰向けに、寝ます」
と言いながら脚を拡げたまま上半身を横たえた。
「万歳をしなさい」
「は、い。万歳を、します」
と言って両手を頭の上へと伸ばした。
速水は、彼女の両手首を組ませた後、拘束具で星羅の四肢を固定した。
固定が終わると、星羅の四肢をじっくりと視姦した後、下着の上から星羅の大きな胸を揉んだ。下着を挟んでも柔らかい胸の触り心地は気分が良かった。真ん丸で形の良い女房は、仰向けでも形が崩れず若さの象徴であった。
そして、そのまま手を滑らせてお腹の上を数回摩ると、次に股間を下着の上から割れ目を指でなぞる様に触れた。いくら催眠状態と言っても身体の反応は正直であった。胸を揉まれ、割れ目を弄られた結果、下着にシミが出来ていた。愛液を溢してしまったのだ。
星羅は催眠術のせいでまったく抵抗しないばかりか声も出さずになされるままに身を委ねていた。
星羅の顔の傍に戻ると、唇に自分の顔を近付けてキスをした。星羅も無意識のうちにそのキスを受け入れて、速水の武骨な舌が口の中に侵入されても何も言わなかった。
胸の膨らみとキスを堪能した速水は、更なる暗示を掛ける事にした。
「これから手を叩くと催眠の世界から帰って来られますよ」
と言って、一発パチンと手を叩いた。
「うううん・・・・・・きゃあっ!」
「ふふふ、お目覚めかな?」
「先生、これは一体何の真似ですか!」
「星羅、本当に君は可愛らしいねえ。裸体も芸術品だ。先生は、君が入学した時から気になっていたんだ。ずうっと好きだったんだよ。先生は真面目で清純な女性が好きなんだ。君は生徒会長だし奇麗だしね。それで、君がミステリー小説ファンで、それが高じて冒険も好きだと知って、君を呼び出すための罠を用意したんだ。曰く秋田沙那が胸を触られた。曰く3年生の女子生徒が強姦された・・・・・・ふふふ、何だい、その表情は?」
「ど、どうして先生が知っているの?」
「ふふふ、これは先生が流した噂だからさ。きっと生徒会長としての正義感と好奇心から、必ずや星羅が俺に接近して来るだろうと思ってね」
「ひ、ひどい・・・・・・」
「ふふふ、星羅の身体は徹底的に開発してエッチな男好きのする肉体を作ってあげるからね」
「い、いやあ、いやだあ、やだああ・・・・・・ど、どうして星羅なの?」
「決まっているだろ?君が美しいからさ。まあ、君の場合は素朴な雰囲気のある普通の娘と言う感じではあるが、やはり身体付きが色っぽいから調教のやり甲斐がありそうだからさ。もっとも君には悪いが、本命は滋野綾芽だ。あのモデルの様な素晴らしい肉体を手に入れたい。彼女は、合唱部で部長を支える気の利く優しい美人だから、先生の好みにぴったりだ」
「あ、アヤメは関係無い!綾芽には手を出さないでぇ!お願い、一生のお願い!」
「ハハハ、さすがは生徒会長。生徒思い何だねえ。お友達思い何だねえ。そうかい、すると滋野には手を出さない代わりに星羅は構わない訳かい?」
屁理屈を返されて、さすがの星羅もとうとう泣き出してしまった。
「さあ、続きだよ」
と言って速水は机の上に登ると、彼女の身体に覆い被さるようにして小柄な美少女を抱きしめた。彼の胸の中で悲鳴が上がり、バタバタと身体をゆすって抵抗しようとした。しかし、彼に抱き締められている上に四肢をベルトで拘束されているので全くの無駄であった。
「本当に星羅は可愛らしいね。こうして間近で見つめると色っぽい顔立ちしてるね」
「いやあ!離してぇ!」
「冗談じゃない。まだ改造は始まったばかりだぞ。ふうむ、こうして抱き締めただけで興奮するんだ。フェロモンの発散量がすさまじいな。こりゃ、ますます楽しみになって来たぞ」
と言って、再びキスを迫った。彼女はイヤイヤをしたが、速水の武骨な両手で頬を固定され結局唇を重ねてしまった。
しつこい程のキスで息苦しくなって来た所で、ようやく顔を話すと、彼はそのまま顔を胸の膨らみに移動させた。
「ほおぉ、これは良い匂いだ。やっぱり年頃の女は胸も甘い香りがするんだな」
と言うと、下着の上から胸を揉み解した。先程は催眠術で意識が無かったが、今度ははっきりと抵抗と悲鳴が起こった。抵抗と汗のせいで、お下げに編んだ長い髪の毛がほどけてグシャグシャになっている。既に彼氏とセックスを楽しんだけれど、相手は童貞の粗雑な手つきだったが気持ちも良かったけれど、速水は幾分優しくはあったが、やはり無理矢理触られるのは辛かった。
「いやあ、やめて、痛い、痛いですぅ、やめて下さいぃ」
「まだ始めたばかりじゃないか。何のこれしきでやめて堪るか」
「はあ・・・・・・はぁ、うふん・・・・・・はぁん」
「おお、気持ち良くなって来たな。よしよし良い娘だね」
「はぁん・・・・・・そんな、気持ち良い訳ないじゃないですか。いやぁん」
「おお、おお、色っぽい声を出しやがって。それにしても、こんな気持ちの良い胸は久し振りだな。どうだい、この布が邪魔だとは思わないか?」
「じゃ、邪魔じゃありません!そのままで良いです」
「ううむ、これは無い方が楽しいと思うけれどなあ」
と、速水がいやらしい目つきをしたその時である。
「星羅!星羅!どこ?」
と言う女の子の大きな声が聞こえた。それは今星羅が庇ったばかりの友達の声だった。
「来ちゃ駄目え!来ちゃ駄目えええ!」
と星羅は叫んだが、その声が耳に届いた女の子が勢いよくドアを開けて入って来た。
「アヤメ、逃げて!早く逃げて!私の事は良いから逃げて!」
机の上で星羅は下着姿のままそう怒鳴った。その下着姿の彼女と下品な微笑みをこぼす速水の姿を見て滋野綾芽は息を呑んだ。
「何をやっているんですか!」
綾芽の声は合唱部で鍛えた声量のお蔭で迫力があった。
「おお、滋野。今、先生と星羅は補習授業の真っ最中なんだ。一体何の用だい?」
「ふざけないで下さい!古典の補習でどうして生徒を裸にするんですか!」
「ハハハ、冗談だよ。先生と星羅は恋人同士なんだ。恋人同士セックスをしてはいけないと言う決まりは無いだろう?」
「嘘です!星羅は泣いているじゃないですか!今の言葉、もう一度言えますか?」
と、綾芽が叫ぶと、校長先生と綾芽や星羅の担任教師が入って来た。
「速水先生、本当に黒部さんとはただの恋人同士なのですか?」
校長先生は静かな口調で問い質した。しかし表情は厳しかった。
「・・・・・・」
「速水先生、先生の噂は本当だったんですね」
「ああ、あれか。あれは俺が自分で流した偽の噂だよ」
「そ、そんな・・・・・・」
その間に星羅は担任に介抱されていた。そして、綾芽が近付くと、
「アヤメ、いえ、綾芽さん。折角注意してくれたのに無視して御免なさい」
「ううん、星羅、早く元気になってね」
「はい」
下着を身に付けているとはいえ裸体に近い星羅にとって、速水を除く教員が皆女性であった事は、不幸中の幸いであった。

速水は校長先生の通報によって駆け付けた警察官に逮捕され、2年3組の古典担当教員も交代した。しかし、黒部星羅の心の傷は癒えず、生徒会長としての最後の義務感から辞めずに休学する事になった。


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